8D.wiki

顧客満足 3 — 自動車会社の視点:顧客が求めるのは移動

故障率か、修理時間か、それとも「クルマが使えない時間」か。自動車会社の経営層との対話から、顧客満足の本当の指標を一段ずつ掘り下げます。指標を取り違えなければ、品質を高める以外に「代車を出す」という解決策も見えてきます。指標を間違えると、努力は逆方向に進みます。

故障率が低いほど、顧客は満足するのか あるとき、自動車会社の経営層の方と顧客満足について話す機会がありました。その方は言いました。故障率が低いほど、顧客は満足する、と。 そこで私は尋ねました。故障率が低いとは、具体的にどういうことですか。答えは、もちろんクルマの故障する回数が少ないほどよい、というものでした。もっともな話に聞こえます。 さらに続けます。大きな故障と小さな故障の重みは同じですか。少し考えて、もちろん違う、と。この問いは際限なく議論できそうです。 しかし、もう一歩深く考えると、別のことが見えてきます。故障の回数の多さは、クルマの利用者そのものとは、それほど関係がありません。故障しても、しなくても、移動に支障がなければよいのです。 顧客の本当のニーズは移動であり、低い故障率ではない ここが分かれば、結論は明確です。顧客が求めているのは移動であり、故障率の高低ではありません。 理想は故障ゼロで、移動に一切支障が出ないことですが、それは実現できません。ではもう一段深く掘りましょう。修理時間の長さは、よい指標になるでしょうか。4S 店(正規ディーラー)での修理時間が短いほどよい——これは比較的筋が通っているように聞こえます。 しかし、本当にそうでしょうか。 利用者の視点に戻る——走れればいい 先ほどの利用者の要求に戻ります。移動、すなわち可移動性です。クルマが使えて、人を A 地点から B 地点へ運べるなら、快適性と安全性が確保されている前提で、小さな故障があっても、4S 店に行くかどうかは、実はそれほど重要ではありません。 では、顧客満足と最も関係が深いのはどこでしょうか。答えは、クルマが利用者の移動を妨げる時間の長さです。これで測れば、顧客満足の指標としては比較的よく機能します。 例を挙げましょう。3 年以内に、クルマが使えない時間が 50 時間未満であること。この指標が決まれば、一気に視野が開けます。「クルマの品質を高める」ことは、言うまでもなく非常に重要な方法です。しかし、それ以外の方法はないのでしょうか。 別の方法もある——移動を妨げなければいい もちろんあります。故障して 4S 店で修理が必要なとき、自動車会社が代車を用意するのです。 そうすれば、顧客は移動したいときにそのままクルマで出かけられます。移動のニーズが妨げられなければ、4S 店での修理時間の長さは、それほど重要ではなくなります。 ほら、同じ「顧客満足」でも、「故障率が低いほどよい」から「修理時間が短いほどよい」、さらに「移動を妨げなければよい」へと問いを重ねるだけで、解決策はまったく変わります。前者二つは品質を必死に高めるしかありませんが、後者には「代車を出す」という道がもう一本加わるのです。 ひとことで言えば 顧客満足の本当の指標を識別することは、顧客満足に対する方針と解決策に直接影響します。 だからこそ、本当の顧客ニーズを識別することは、表面のニーズよりもはるかに重要なのです。顧客が求めているのは低い故障率だと思っていても、実際に求めているのは、いつでも移動できることだけかもしれません。指標を取り違えれば、あらゆる努力は逆方向に進んでしまいます。

Related articles

8D.wiki — Quality Engineering Knowledge Base